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平成25年通常総会開催

 5月20日、京橋区民館にて平成25年通常総会が開催されました。「基本活動の見直しとその実践」をスローガンに、今年も須藤千春理事長と新役員とで、認定NPOを目指した事業体制の建て直しと充実を加速させる意向です。

 午後は、3人の講師をお招きしての記念セミナーと基調講演を開催。
先ず、セミナーでは千葉大学予防医学センター・(財)東京顕微鏡院参与・瀬戸 博氏からは「知っておきたいシックハウス問題の現状」。当理事長である(独)元中部大学教授・須藤氏からは「ダニアレルギーの現状」について最新情報が発表されました。

シックハウス問題は終わっていない 瀬戸 博氏(千葉大学予防医学センター)
 瀬戸氏からは、最近のシックハウス問題の特徴に、指針値物質は検出されないが、代替物質が新たなシックハウス相談として寄せられており、この問題は決して解決していない。 
事例として、天然植物油を施主の希望でペイントしたが酸化してヘキサナール(喉を刺すような刺激)が検出されたり、天然材(無垢床板、壁材、塗料、接着剤、ワックス、断熱材、漆喰など)由来成分と、酸化した天然油脂との化合物によるシックハウスの可能性も指摘されたが、詳細な情報が不足しているのが現状である。
 また、アセトアルデヒド濃度増加の謎として、平成16年「住宅性能表示制度」の特定測定物質から除外されたことに触れ、天然木材と塗料の溶剤に含まれるエタノールとが生成機構に考えられる。F☆☆☆☆は必要条件で十分条件ではないと警告。
「計画換気を前提にTVOCを抑制出来、未規制・未知物質の低減にも対応する家づくりや、シックハウスを未然に防止する建材、家具、家庭用品の供給とシステム作りが根本解決の道」と結びました。

乾燥に強いコナヒョウヒダニに注意   須藤千春氏((独)元中部大学教授)
 須藤氏からは、住まいの気密化が進んで換気性能が低下したために、湿度が上昇して、チリダニ類が増加し、ダニアレルギーも増加してきたと一般には言われ、計画換気の完備した家づくりが推奨されているが、本当にそうだろうか。
チリダニはヒョウヒダニ属で強力な蛋白質分解酵素を持ち、これがアレルゲンDer1となるので、チリダニの生息できない乾燥傾向の家づくりで、ダニアレルギーの発症予防に効果を発揮してきた。
ところがヒョウヒダニ属の中でヤケヒョウヒダニは乾燥に弱いが、コナヒョウヒダニは乾燥に極めて強く、有機リン系殺虫剤、ピレスロイド系殺虫剤にも耐性があり、住宅にへばりついて生息している。
近年の室内環境の乾燥化により、ヒョウヒダニ類は全般的に減少傾向にあるが、過乾燥がアレルギー症状の悪化や難治化の原因になっている可能性が推察される。健康住宅推進のためには、ダニの生態学的把握を含めて、住宅の温熱環境の簡便な評価・比較法の確立が急務である、と結びました。

脆弱な木造住宅を進化させる耐震診断に「時刻歴応答解析」を   
藤村悦生氏((独)近畿職業能力開発大教授)
 基調講演には、当協会の開発した精密耐震診断ソフト「新・家守殿」の監修者である(独)近畿職業能力開発大教授・藤村悦生氏が、「先端的木造住宅用耐震技術と設計」~最先端の耐震工学による新・家守殿での解析~と題して講演。
 現在の耐震設計の基本となっている保有水平耐力計算法は、(壁倍率設計法はこれの簡略法)弾塑性応答を考慮して簡便に最大応答を推定する手法である。木造における一般的な耐力壁である筋交いについては、今後想定される震動が長く続く地震には疑問が残る。
つまり、「現在の木造耐震診断・木質構造設計(許容応力度設計)では、長く繰り返す地震での建物の状況は十分把握できない」として、3.11のような巨大地震の場合には、超高層建築物設計で使用されている時刻歴地震応答解析による算定が有用であることを強調。
 対策として、「今後は木造住宅の構造的な脆弱特性を認め、保有水平耐力計算法のみでなく、さらに時刻歴地震応答解析を取り入れ、制振・免震装置を適宜に装備した木造住宅に進化させる必要がある」。また、会場からの断震についての質問には、「確立された技術ではない」と注意を促し、出席者の関心を集めました。